勝利の秘訣(9)「ファスト&スロー」

ダニエル・カーネマンが提唱する「ファスト&スロー」を紹介します。これが理解できているとトレードの判断の能力が著しく向上します。行動経済学のバイブルです。

ダニエル・カーネマンは、心理学者であり、経済学者でもあります。彼が提唱する「ファスト&スロー」とは、人間の思考が、2つのシステム、ファストシステム(思考の自動化、直感的な思考)とスローシステム(理性的、分析的な思考)によって支配されているという考え方です。

ファストシステムは、感情的な反応によって動くシステムで、自動的で直感的な思考が支配しています。このシステムは、我々が生きていく上で非常に役立ちます。例えば、危険を察知するための反射的な反応や、覚えたことを自動的に実行するための能力などがあります。

しかし、一方で、ファストシステムが支配する場合、感情や主観的な判断が影響しやすく、合理的でない決断を下すことがあるという問題があります。例えば、商品の値段が安くなるという情報に対して、買い物好きの人が過剰な買い物をしてしまうことがあります。

一方、スローシステムは、論理的に分析するシステムで、情報を処理する際には、より深い思考が必要です。このシステムは、問題解決や、決定を下す際に非常に役立ちます。しかし、スローシステムを使うためには、より多くの努力や時間を必要とするため、常にこのシステムを使って思考するわけにはいかないのです。

カーネマンは、人間の思考は基本的にファストシステムで動くため、感情や主観的な判断が影響しやすいと指摘しています。また、ファストシステムが支配する場合、一見すると合理的な決断でも、後になって考えると不合理であることが多いとしています。

このような問題を解決するために、カーネマンは、スローシステムを使って、より深く理解し、より正確な判断を下すことが重要だと主張しています。スローシステムは、ファストシステムが支配する前に働くことで、感情や主観的な判断にとらわれず、より客観的な判断を下すことができます。

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